虹色パウダー
10分くらい練習した後だった。
「そろそろ帰るか」
「もっと見たい!!」
すっかり彼氏と彼女のようになったふたりを僕は温かい気持ちで見ていた。
「涼太、メールアドレスとか聞いてもいい?」
ボールの汚れを自分のTシャツで拭いている涼太。
「メール??淳平のこと、解決してからにしよう。俺、淳平と話してみようと思う」
涼太のTシャツは泥で汚れた。
かきあげた髪からは、汗が落ちた。
「ありがとう。私にできること……ないかな?」
「ねぇよ!」
冷たく言い過ぎたと思ったのか、涼太は一歩桜子に近付いて、考え込むような表情をした。
「じゃあさ、弘道に頼んでもらえるかな。あいつは淳平の親友だから、淳平のことを絶対に裏切ったりして欲しくないんだ。俺に協力するようなことはせずに、淳平の相談に乗ってやって欲しいって」