虹色パウダー
「明日も会える?」
涼太の声に、桜子は無言でうなづいた。
桜子は涼太と密着すると声が出せないくらい緊張する。
「じゃあな、樋渡!」
涼太は勝手だ。
桜子には、涼太って呼べって言ったくせに、自分は『樋渡』なんて名字で呼んでいる。
「ばいばい」
「おう」
桜子は自転車に乗り、猛スピードで走り出した。
顔が熱いんだろうな。
風を浴びて、気持ち良さそうだった。
急展開なようだけど、最初からこうなるはずだった。
ちょっと遠回りしちゃっただけだ。