虹色パウダー
みんなより先に教室についた桜子は、教室の窓から涼太を見ていた。
後片付けをする涼太を見つめる桜子は、恋する少女の顔をしていた。
僕は久しぶりにパウダーを使ってみた。
ぴょんと飛び降り、涼太の肩へ。
桜子のシャンプーの香りパウダーが、やっと完成したんだ。
僕は自信満々に振りかけた。
「え??」
涼太の反応は想像以上だった。
フローラルな香りが涼太の体の周りに漂った。
涼太は、キョロキョロと周りを見回した。
そして、顔を上げた。
「あ……」
見上げた先にいたのは、教室の窓から顔を出す桜子。
桜子もびっくりした表情をして、動けずにただ涼太を見つめていた。
「涼太……」
小さくつぶやいた桜子。
もう涼太の前じゃなくても、「涼太」と呼べるようになったんだね。