虹色パウダー
涼太は照れているのかふくれっ面になり、顔を背けた後、もう一度顔を上げた。
そして、口をゆっくりと動かした。
-ばか-
だと思う。
それを受け取った桜子は声を出さずに笑って、その後涼太と同じように口を動かした。
-ばか-
その数秒間のやり取りが、またふたりを近づけた。
小さく手を振った桜子に、乱暴に手を振り返す涼太。
涼太は、顔がニヤけていた。
桜子も幸せオーラが体中から出ているようだった。
そこまでは良かった。
しかし、その様子を見ていた人物がいた。
淳平?
いや、違う。
トボ助だ。
もう忘れられている存在かも知れないが、桜子のクラスの担任の教師。
「ほほ~。お前の彼氏、日向丘なのか?」
ニヤニヤしながら桜子の細い肩に手を乗せた。