虹色パウダー



3時間目が終わった休み時間のことだった。


桜子の教室に、涼太が入ってきた。


英語の教科書を淳平に借りに来た涼太だったが、きっとそれは口実だったのだろう。




淳平が目を離した隙に、桜子に近付いた。



「担任むかつくんだけど」



桜子の座っている机の横で小さな声でそう言った。



桜子は、顔を真っ赤にして困ったような嬉しいような表情で、サッキーと雪乃ちゃんを見た。



桜子の話では聞いていた涼太のことだけど、サッキーと雪乃ちゃんは実際に涼太と桜子が接近する場面を目撃して興奮していた。





「すごーーい!嫉妬されてんの?」

「涼太君、めちゃめちゃかっこいい!!」





桜子は机に顔をくっつけて、足をバタバタさせていた。





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