虹色パウダー


体育館の裏にあるゴミ焼却炉の横の小さな庭。



授業中に、ここで数人の男子がよくサボっている姿を見かける。





「ごめん……淳平」



鼻の下を手で触りながら、涼太が軽く頭を下げた。





どうやら、まだ本題に入る前のようだ。



教室で着替えたのか、ふたりともサッカー部のユニホームに着替えていた。






「どうしたんだよ、涼太。桜子のこと?」



淳平の頭の中は、桜子のことでいっぱいらしい。



「ああ」



涼太は小さな声でそう言った後、スパイクのひもを結び直した。





「別に気にすんなって。アイツの好きなヤツが誰か、知らない方が俺もラクだし。涼太に聞いてくれって頼んだ俺が間違ってた。もう調べなくていいから」






淳平は、涼太の『ごめん』を桜子情報を集められなかったことへの『ごめん』だと勘違いしていた。




体育館からバスケ部の部員の声が聞こえてくる。


涼太は、淳平に手招きして、もう少し奥の方へと移動した。





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