虹色パウダー



今日はよく働いた。


もう夕方になっていた。


僕は校門から、下校する生徒達を見ていた。



なるほど。

新しい制服の方が、断然かわいい。



今日は新学期最初の日。


まだひとりで下校する生徒も多い。



僕は校舎の中を散歩した。


もう生徒が帰ってしまったので、静かすぎて、ちょっと緊張する。


いくら妖精の僕でもこんなに静かだと、気配を消すのに苦労する。





長い廊下を散歩しながら、各教室を覗いてみる。


まだ新しい匂いがする1年生の教室。



黒板に書かれた先生の自己紹介の名前。


2、3年の教室には、教科書やノートがいっぱい置いてあるのに、1年生の教室にはまだ置かれていない。


みんなまだ真面目なんだね。


だんだん教科書が重くなって、みんな宿題のない教科の教科書は置いて帰るようになる。


僕はこっそりその教科書を見て、勉強するんだ。



僕のいるこの日本ってどういう国なのか。


日本っていう国にはまだ侍がいると信じられていたけれど、実際来てみるとテレビの中にしかいない。



妖精学校に帰ったら、みんなに教えてあげないと。

きっとびっくりするだろうな。




< 17 / 287 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop