虹色パウダー



トボ助は、まだ桜子の進路の話や、成績の話をしていなかったことを思い出した。




「樋渡…… お前からも日向丘に言ってくれ。面談がこのままじゃ進まない」




トボ助をにらむように桜子は言った。



「私も、日向丘君に一緒にいてもらいたいんですけど。一緒に面談してもらってもいいですか」




ガラガラ




静かに後ろの扉が閉まった。



閉めたのは淳平。





嫌々だったが、トボ助は面談を再開した。


今度は真剣に進路について話し始めた。




桜子は、特別頭が良いわけではないようだが、どの教科も平均以上で、大きな問題がない。

クラスの中でも人気者で、協調性もあり、とても良い生徒。





「涼太がいるならもう安心だ。帰ろうぜ」



廊下では、淳平がみんなにそう言った。



淳平の気持ちを知っているみんなは、少し複雑な気持ちでその場を去った。





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