虹色パウダー



無言のまま廊下を歩く。



「涼太があそこまで桜子のこと好きだったなんてな!ははは!!」



淳平は無理して明るい声を出した。



雪乃ちゃんは、そんな淳平を見つめながら、目に涙を浮かべていた。






「俺の完敗!すっきりしたよ」




淳平は、沈んだ表情のみんなの顔を見回した。





「何、暗い顔してんだよ。図書館でみんなでテスト勉強でもすっか?」




さっきから淳平ばかりが口を開いていた。


弘道は、それがいいと言った。


サッキーは、雪乃ちゃんの手をぎゅっと握っていた。





僕も胸が痛かった。


誰かが幸せになるということは、その影で誰かが傷つくということなのか。




涼太と桜子が両想いであると、淳平は気付いたんだろう。


だから、淳平は、桜子を守る役目を涼太に譲った。




本当は、淳平だって一緒になって教室に飛び込みたかったはずだ。



トボ助に向かって文句を言いたかったはず。





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