虹色パウダー
「俺…… すっげー好きなのに。でも……」
淳平は泣いていた。
男の涙。
悔しい涙。
雪乃ちゃんは、淳平の震える背中に手を伸ばしたが、遠慮がちにその手を引っ込めた。
僕は、パウダーを振りかけた。
『雪乃ちゃん、がんばれ!!!』
さっき淳平が食べていたグレープのガム風味。
甘いパウダーが雪乃ちゃんと淳平を包む。
雪乃ちゃんは、そっと抱きしめるように淳平の体を包んだ。
小学校の横にあるその路地は、誰も人が通らず静かだった。
小学校のチャイムの音が響いた。
「淳平君…… 辛かったね。本当は、涼太君の代わりに自分が行きたかったんだよね」