虹色パウダー
「俺…… 涼太が扉開けたとき…… 立ち上がることもできなかった。俺の出番じゃないって思った」
声を上げて泣いた。
雪乃ちゃんも泣いていた。
「悔しいよ…… 桜子のこと俺も好きなのに。でも……涼太には勝てねぇよ」
「そんなことないよ。淳平君、涼太君に負けてなんてない」
淳平の背中を撫でる雪乃ちゃん。
雪乃ちゃんの想いもまた、複雑だろう。
桜子のことを想って泣いている淳平。
淳平のことを好きな雪乃ちゃん。
淳平はその気持ちを知らない。
「雪乃…… ごめんな。こんな姿見せちゃって」
「いいよ。無理しないで。無理して笑わなくていいから」