虹色パウダー
僕は彼に近付くことができない。
だって、彼はとても動きが早いから。
僕が肩に乗ってもすぐに振り落とされてしまうんだ。
夕日を浴びた校舎がオレンジ色に輝いていた。
まぶしくて、校舎がよく見えない。
ここからは、桜子の存在が確認できない。
ねぇ、桜子。
君が恋しているこの少年は、君がそこからいくら見つめても気が付かないんだよ。
もっと近くで見つめないと、想いは届かない。
僕は桜子がいつから彼を好きなのか知らないけれど、桜子の想いが強いことだけはわかる。