虹色パウダー
「おっはよ~!!」
元気いっぱいの大声で、教室の中のみんなに挨拶したのは桜子だった。
久しぶりに見た桜子は、また素敵な女の子へと成長しているようだった。
伸びた髪を後ろで束ねて、前髪を斜めに流していた。
相変わらず、桜子独特の制服の着崩し方。
夏服のシャツの裾を短くカットして、スカートに入れずに出していた。
中に着たピンクのタンクトップがポイント。
「あ、おはよう」
雪乃ちゃんが、桜子に近付いて、こそこそと耳打ちした。
桜子は、窓際に座った淳平に目を向けた。
雪乃ちゃんと桜子はため息をつきながら、ゆっくりと淳平に近付いた。
「おはよう、淳平!!」
下敷きで顔をあおびながら、雑誌を見ていた淳平は、桜子の挨拶に顔を上げずに答えた。
「相変わらずうるせーな、お前は」
「どうせ私はうるさいですよーーーだ。何よ、その金髪!!」
雪乃ちゃんは、こうして明るく何でも言えちゃう桜子をうらやましそうに見ていた。