虹色パウダー
「私が言っても、きっと聞いてくれない。淳平、戻って欲しいな」
「雪乃って子、いるじゃん。あの子もちょっと原因かも知れない。淳平がまだ練習に出ていた頃に、ちょっと聞いたんだけど」
涼太は声を潜めて、桜子にちょっと近付いた。
誰も聞いていないのに、小声で話すふたり。
「桜子にフラれてから、雪乃ちゃんって子に話を聞いてもらっていたらしいんだ。でも、結局その子も淳平に恋愛感情はなくて、淳平は愚痴ってた。俺はどうせ誰からも本気で愛されない、とか」
「ちょ!!ちょっと待って!!!それ、めちゃめちゃ間違ってるんだけど」
いきなり大声を出した桜子は、ベンチの上に立ち上がった。
涼太は、不思議そうに桜子を見上げていた。
僕だって驚いた。
雪乃ちゃんは、ずっと前から淳平を好きだった。
変わってしまった今の淳平のことも雪乃ちゃんは、ちゃんと「好き」なんだよ。
もしかして、雪乃ちゃんの好きな相手をまだ涼太だと勘違いしてる??
それは大問題だ。