虹色パウダー
「それなら納得。何もかも涼太に負けてることが許せなかったのかも知れないね。でも、淳平はバカ…… 涼太なら、もしそんな状況でもサッカーやめたりしないよね?」
「サッカーはやめないと思うけど…… 男って結構負けず嫌いだからな。俺ももしかしたら…… 淳平に桜子を奪われたりしたら、俺だっておかしくなるかも」
涼太は、ベンチに座っている桜子に手を伸ばす。
桜子は、涼太の手に手を乗せた。
「そうなの?」
「そりゃ、そうだろ。今はもうお前が他の男のモンになるなんて考えらんねぇし」
グイっと手を引っ張り、涼太は桜子を抱きしめた。
桜子の腰の後ろに回された手が微妙に動いていて、僕はドキドキした。
少しずつ大人になっていくみんな。
桜子と涼太も……
いつか大人の関係になっていくんだろうな、と親心でふたりを見つめていた。