虹色パウダー
「淳平、すげーな」
兄貴にこう言われた日のことを今でもはっきり覚えている。
小学校5年の時、地区の代表に選ばれた俺を兄貴は褒めてくれた。
勝ったわけじゃないけど、俺は兄貴に勝てたと思った。
比べられるのはうんざりだ。
だって、どうせ俺は兄貴と同じフィールドでは戦えない。
俺は、サッカーの才能がある。
そう信じて、そこそこ練習した。
俺よりももっと真剣にサッカーをしている仲間もいるのに、俺の方がうまかった。
だから、俺は自分を「天才」だと思ったんだ。