虹色パウダー
俺、本気だった。
樋渡桜子と付き合いたいと思った。
まさか涼太が好きになるなんて、予想もしていなかった。
そりゃ負けるって。
俺と涼太だろ?
誰でも涼太を選ぶだろ。
涼太、涼太ってみんなアイツばっかり。
監督も先輩も、何かあると涼太を呼び出してさ。
入部してすぐに、将来の部長は任せた、なんて言われてさ。
俺だって部長狙ってたのに。
ずっと俺が1番だったのに。
涼太がいると、俺は輝けない。
アイツが光だとしたら、俺は影。
目立とうと頑張って頑張って、必死になるのに光を放つことができない。
涼太は、目立とうとなんてしない。
ただそこにいるだけで、光を放ち、視線を集めてしまうんだ。
そういう星の元に生まれてるんだ。
まるで俺の兄貴のように。
―どうせ俺は
―俺なんか
いつからだろう。
俺はそんなマイナスな言葉が口癖になっていた。