虹色パウダー
「あ~あ。体育祭、クラブ対抗リレー、淳平と一緒に出たかったのに」
スネたような涼太の口調。
こんな涼太はあまり見たことがない。
作戦かと思うくらいに、いつもとは違う涼太。
「ちょっと……涼太。別に俺は、お前やみんなと距離を置いたつもりはねぇよ!!」
やっぱり涼太の作戦だったのか。
淳平は、しどろもどろになって落ち着きをなくしていた。
そりゃそうだ。
淳平は、みんなが大好きだから。
「髪を染めたいなら染めればいい。でも、どうして態度まで変わってしまうんだよ。雪乃ちゃんにもひどい態度取ってるんだろ?」
雪乃ちゃんの名前を聞いた淳平は一瞬顔色を変えた。
右手で首の後ろをもぞもぞと触った淳平。
「あいつは……関係ねぇよ!!」
「雪乃ちゃんはお前を心配してる」
「それを涼太が言うかぁ??お前は知らないから言えるんだよ!雪乃の好きなヤツってのはなぁ……」
ガタン……
まるでドラマのような完璧なシチュエーション。
影からこっそり見ていた桜子と雪乃ちゃんが音を立ててしまった。
いや、もしかしたら桜子がわざと音を立てたのかも知れない。