虹色パウダー
一瞬のうちに、淳平の頭の中にはいろんな感情が生まれたんだろう。
驚いた表情の後に、困った顔になる。
そして、情けない表情になって、頭をかく。
その後……少しだけ微笑んだ。
「それ……冗談じゃなくて?」
涼太はそっとその場を離れる。
手招きをする桜子の元へ行き、校舎の影から2人を見守っていた。
「冗談でこんなこと言わないよ」
「そうだよな?ちょっと待って。どういうこと?」
淳平はその場にしゃがみ込んでしまった。
いつかのあの日のように。
失恋した淳平を雪乃ちゃんはこうして慰めてあげた。
雪乃ちゃんも隣にしゃがんだ。
「涼太じゃないの?」
「うん。入学してからずっと……淳平だけだよ」
いつからか、雪乃ちゃんは『淳平』から『淳平君』へと呼び方を変えていた。
また『淳平』に戻ったね。