虹色パウダー
「早く言えよ。俺、ばかみたいじゃん。雪乃はてっきり涼太だって……」
「私、わかりやすかったと思うんだけど」
淳平は立ち上がって、両手を空に伸ばして伸びをした。
「はぁ~!!もう、何やってんだよ、俺!!」
同じように伸びをした雪乃ちゃんは、優しい瞳で淳平を見つめた。
「あ!!!でも、雪乃!!お前の部屋にあったあのDVDは何だよ!!涼太の出た番組のDVD机に置いてあったじゃん」
淳平は、伸びをした両手をゆっくりと下ろして、雪乃ちゃんの肩に置いた。
覗き見をしていた涼太と桜子は、遠慮してその場を離れた。
「え、あれ?だって、淳平がちょっとだけ映ってたから……だからだよ?知らないの?学校の取材の時、淳平が後ろで練習してるのが映ってたんだよ!!」
大きなため息をついた淳平。
雪乃ちゃんの肩に手を乗せたまま、脱力した。
「あ~、まじかよ。もう、俺……バカすぎじゃん」
「うん。ほんとにバカ…… でも、そういう所も淳平らしくて好き」
おぉ?
僕は、抱き合う2人の上を飛び回る。
祝福のパウダー。
ラブラブな2人にぴったりの甘い香りのパウダーをふりかける。
結局、僕は何の力にもなれなかった。
淳平も雪乃ちゃんも、自分の力で幸せを手に入れた。
ようやく素直になれた雪乃ちゃんと、雪乃ちゃんの愛に気付いた淳平。
これからの2人が楽しみだ。