虹色パウダー




「桜子、いつも部活ばっかりでごめんな」



部活の後の公園で、いつものようにデート。


肌寒い季節は、くっつけるから内心嬉しい。



「ほら、こっち来いよ」


寒そうに両手をこすり合わせる桜子の肩を抱いた。




「こうして会えるから寂しくないよ。私、まったりデートが好きだし」



桜子はクラスでも積極的な性格でみんなのリーダー的存在だった。


でも俺とふたりでいるときの桜子は少し違う。


それが俺的にはかなり嬉しかったりする。



俺だけに見せる顔、みたいな。





桜子は、実はおっとりしていて、穏やかでほのぼのした子なんだ。



こうして、肩を寄せ合いながら夜空を見上げたりする時間が好きだと言っていた。



遊園地とか映画とか、デートらしいデートをしてあげたいと俺は思うんだけど、サッカーがあるからそんな時間もなかなかなくて。


それを謝ると、桜子はいつも笑顔で言うんだ。



「涼太とこうしてるのが好きだから」



「俺達って、似てるよな」
 



俺もこういうデート大好き。



俺達の間に流れる時間だけ、他とは違う感じで。


< 266 / 287 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop