虹色パウダー
みんなの幸せ
僕の暮らしていた妖精の国にもクリスマスはあって、この世界と同じようにみんなが笑顔になる時期だった。
僕はクリスマスが好きだった。
毎年プレゼントもあげたりもらったりして、学校でパーティーをしていた。
僕は今年、誰からももらえない。
そして、誰にもあげられない。
なのに、ちっとも寂しくない。
僕は、念入りにパウダーを作る。
幸せを運ぶSNOWパウダー。
僕は、気付いていた。
お別れの時期が近いこと。
もう僕は帰らなければならない。
もしも今、僕が『ひとつだけ願いを叶えてあげる』と言われたら、迷うことなくこう言うだろう。
『僕を人間にしてください』
そんな叶わぬ夢を心の片隅に置いて、僕はクリスマスムードの学校を飛び回る。