虹色パウダー
放課後の教室もまたクリスマスの話題。
テストが終わったみんなの顔はホッとしているようだった。
楽しみな冬休みがやってくる。
「桜子は手編みって柄じゃないよね」
サッキーは、手編みのマフラーを編んでいる雪乃ちゃんの隣でケラケラと笑った。
「まあね。私、不器用だもん」
桜子は、少しだけうらやましそうに、雪乃ちゃんの手編みのマフラーを見つめていた。
「私は一緒に買いに行くんだ~!」
サッキーは、弘道に洋服を買うんだと言って張り切っていた。
「で、桜子は……?」
窓の外を見る桜子。
寒い中、半袖で走り回る涼太が見えた。
「何が欲しいんだろう」
桜子は独り言のように呟いた。
「桜子が欲しいんじゃない?あははははは」
サッキーが大笑いすると、雪乃ちゃんまでもが、桜子をあげたら?なんて言い出した。
桜子も、それが冗談でありながら、冗談になっていないことはわかっていた。
涼太の気持ちは桜子に伝わっていた。
桜子も…… 怖いような嬉しいような複雑な想いだった。
「財布にしよっかな」
桜子は、ニヤニヤする2人を無視して、窓から涼太を見つめた。
もうすぐクリスマス。
僕は、みんなの幸せなクリスマスを見届けてから、妖精学校に帰ることにしよう。
帰りたくないけど。
帰りたくないけど…… ここは僕の場所じゃない。