虹色パウダー
◆桜子目線◆
―桜子―
雪乃が作っている手編みのマフラーを見ていると、ちょっと頑張ってみようかなと思った。
別に手編みじゃなくたって、涼太は喜んでくれると思う。
それに、不器用な私の作ったマフラーは、きっとひどいものになる。
でも……
どうしてかな。
帰り道、立ち寄った本屋さんで、手編みのマフラーの作り方の本を買った。
何か形に残るものをあげたいと思った。
そして、心に残るもの。
これから先、何年も何十年も涼太と一緒にいることができたとしたら、年々新鮮さも薄れて今の気持ちを忘れてしまうと思うんだ。
だから、
この新鮮な気持ちをマフラーに詰め込んで……
涼太にも、私自身にも大事なものになるように。
この気持ちを忘れないように。