虹色パウダー
あの1年1組の教室で初めて桜子に会った瞬間から、僕は桜子に恋をしていたのかも知れない。
まだ友達がいなかった桜子。
窓からいつも涼太を見ていた桜子。
最初に友達になった雪乃ちゃんとサッキー。
初めてお弁当を食べた日に、3人のお弁当の中身が同じだった。
3人ともハンバーグだったことに運命を感じたのは僕だけじゃなかった。
桜子が笑顔になると嬉しかった。
桜子が幸せになってくれることが僕の幸せだった。
この気持ちが恋だとは知らなかった。
でも、気付いた。
胸の奥が痛い。
苦しいよ、桜子。
もう桜子のことを見つめることができない。
桜子が嬉しそうに涼太を見つめる姿や、友達とはしゃいでる姿を見ることができない。
もう会えなくなる。
これが恋だ。
この胸の痛みが恋なんだ。
僕は恋を知った。
この切ない気持ちは、きっと“恋”だ。
桜子、涼太、淳平、雪乃ちゃん、サッキー、弘道、そして、トボ助……
みんなが泣いたり笑ったりして一生懸命頑張っている“恋”を、僕もしてしまったんだね。
叶うはずもない永遠の片想いだけど、僕は幸せだった。