虹色パウダー




あの1年1組の教室で初めて桜子に会った瞬間から、僕は桜子に恋をしていたのかも知れない。



まだ友達がいなかった桜子。



窓からいつも涼太を見ていた桜子。



最初に友達になった雪乃ちゃんとサッキー。


初めてお弁当を食べた日に、3人のお弁当の中身が同じだった。


3人ともハンバーグだったことに運命を感じたのは僕だけじゃなかった。





桜子が笑顔になると嬉しかった。


桜子が幸せになってくれることが僕の幸せだった。


この気持ちが恋だとは知らなかった。



でも、気付いた。


胸の奥が痛い。


苦しいよ、桜子。


もう桜子のことを見つめることができない。



桜子が嬉しそうに涼太を見つめる姿や、友達とはしゃいでる姿を見ることができない。



もう会えなくなる。




これが恋だ。

この胸の痛みが恋なんだ。


僕は恋を知った。



この切ない気持ちは、きっと“恋”だ。



桜子、涼太、淳平、雪乃ちゃん、サッキー、弘道、そして、トボ助……




みんなが泣いたり笑ったりして一生懸命頑張っている“恋”を、僕もしてしまったんだね。



叶うはずもない永遠の片想いだけど、僕は幸せだった。








< 282 / 287 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop