虹色パウダー
夕日がだんだん落ちてきて、少しずつ暗くなってくる。
私は時々目を細め、ピントを合わせる。
彼の姿をしっかりと見たいから。
スローモーションのようだ。
すばやい動きなのに、とてもしなやかで踊っているような。
夕日と重なって、キラキラと輝く。
瞬きをするのがもったいないよ。
私は息をひそめてただ見つめていた。
フェンス越しに見つめた背中は、私が今までに見た男の子とは違った。
男らしく、大きな背中。
「ちきしょう……」
静かなグラウンドに響く声。
想像していた声よりもずっと低い。
何が悔しいんだろう。
私には全てが完璧に見えるんだけど。
あぁ、そうか。
新しい技の練習をしているのか。
彼はさっきから同じ動きを繰り返していた。
高く蹴り上げたボールをかかとでポンと前へ落とし、そこからまたドリブル。