虹色パウダー
目が合った。
吸い込まれそうな瞳。
汗で濡れたシャツ。
筋肉質な腕。
近くで見ると、まだどこか幼さの残る顔をしていた。
時間が止まった。
私は息ができなかった。
どれくらいの時間かわからない。
私と彼は見つめあっていた。
ごめん、と言い、彼はボールを拾い、私に背を向けた。
「あの!!」
思わず声をかけてしまった私に、彼は振り向いた。
その振り向き顔が、たまらなくかっこ良くて、私は泣いちゃうんじゃないかと思うくらい。
その瞬間に恋をした。
恋をする瞬間ってのを感じたのは、生まれて初めてだった。
今、恋をした。
名前も知らないこの男の子に。