虹色パウダー
「うわぁ!」
そのボールはフェンスを越えて、私の胸元へ飛んできた。
「それ、俺に向かって投げてみて!」
彼は、驚く私にそう言った。
サッカーボールをこうして手に持った経験はあまりない。
小学校の体育の授業以来だと思う。
こんなに大きいんだ、なんて思いながら……
私は彼に向かってボールを投げた。
「痛っ!!」
私は、走るのは速いけど、球技が苦手だった。
私が投げたサッカーボールは、フェンスに当たって私の頭へと戻ってきた。
「あははははは」
まぁ、いっか。
こんなに素敵な彼の笑顔が見られただけで、痛みなんて忘れてしまう。