虹色パウダー
「ごめんなさい。もう一回やってみます」
「両手でこうして投げてみろよ」
彼は、両手をひざの高さまで下ろし、そこから頭まで手を上げ、私に投げ方を教えてくれた。
……投げてみろよって言った。
その言い方が、また私をキュンとさせた。
先輩なのかな。
何年生なんだろう。
「この学校の生徒?」
投げようとしたときに、話しかけられて、私は手を止めた。
「はい。あ、いいえ。まだ入学してないんですけど」
「忍び込んできたのか?俺と同じだな」
また素敵な笑顔になった。
先輩じゃないんだ。
同じ学年?
「今年一年生ですか?」
私の質問に、彼は声を出さずにうなづいた。
そして、軽く手を叩いて、ボールを待つ姿勢になる。
私は教えらたようにボールを投げた。