虹色パウダー
涼太は、自分の髪をくしゃくしゃってしながら、廊下に落ちているボールを捜す。
ブルーの廊下のせいで、あのスーパーボールはちょっと見つけにくい。
でもご安心を。
もう涼太のスーパーボールは、桜子の手の中。
「綺麗な色……」
スーパーボールを拾い上げた桜子は、エメラルドブルーのボールを廊下の窓から太陽に透かして、色を楽しんでいた。
「あ、すいません。それ、俺のです!!」
桜子の手の先のスーパーボールに気付いた涼太は声をかけた。
ゆっくりと振り向く桜子。
窓から風が……
5組の教室からメロンパンパウダーがかすかに運ばれた。