二人の秘密
先生が朝の会をはじめ、重たい空気が漂ったまま、授業が始まった。

先生の話しなんて、ろくに聞こえてこない。
頭の中で〈遠距離〉という文字が浮かんだ。
しかしお互いに、うまくやっていけるか不安に思っていた。

潤くんはかっこいいし、アイドルだし、絶対クラスの…いや学校の人気者になるに違いない。

私みたいなファンはたくさんいるし、告白だってたくさんされるだろうし。

きっと、そのうち…私のことなんて忘れてしまうんだろう。

そうだよ。
事務所の人に「忘れた方がいい」とか言われたんだ。

私なんて…普通でどこにでもいそうな女の子。

潤くんだって、モデルみたいにキレイな女の子がいいに決まってる。

そんな心配をしつつも、笑顔で潤くんを送りたいって思った。
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