男性不妊と宣告されて~不妊治療闘想記~
「無視されるだけじゃ分かりません。私のどこが悪いのか教えて貰えないと……」
搾り出した声に先輩は言う。
「確かに私にも悪い所があったかもしれない。じゃあこれからは言うから」
分かって……くれたんだと思った。
これからはまた普通に話したり出来るんだって、そう思った。
だけど、現実はそんなに甘くない。
一度修復したかに見えた関係も、夏が過ぎる頃にはまた元通り。
私と先輩の間に会話は無くなっていた。
「あなたとはやっていけません!」
そう怖い顔で睨むから、精一杯強がって頭は下げなかった。
悔しくて……体重も落ちてしまっていて……。
「辞めてもいいよ」
そう言ってくれるリュウジに抱きしめてもらった瞬間、一気に力が抜ける。
私だけが悪い訳じゃない。
前の事務員さんもこうやって辞めて行ったんだとこの時気付いた。
悔しいけれど、必死にしがみつく理由もない。
こうして私は……会社を辞めた。