男性不妊と宣告されて~不妊治療闘想記~
最近「多い」から男性不妊だと思った。
きっかけがあったなんて……どうして今まで気が付かなかったんだろう。
確かにリュウジの親はずっと病気の事を隠していた。
小さい頃1年入院してたって聞いて
「そんなに長い間入院するくらいの大病なのに、病名知らないなんておかしいよ!」
そう言ったのは私だ。
同棲を始めて最初のお正月。
思い切って聞いたリュウジは……その時初めて小児がんだった事実を知った。
お義母さんは大変だった頃を思い出したのか泣いていた。
リュウジは……だから髪の毛とか抜けてたんだ、と妙に納得していた。
そう、だからリュウジの体には抗がん剤が投与されている。
今では、テレビでがん治療の内容が流れると
「そうそう、抗がん剤ってめちゃめちゃ吐き気とか苦しいんだよな」
なんて言う。
更に調べると大人の男性が抗がん剤を使って治療をする場合、近年では精子バンクに予め保存しておくのが当たり前らしい……。
まるで、この薬は不妊になりますよ……と、言ってるみたいなもんだ。
当時まだ小学校低学年だったリュウジは当然そんな事はしていない。
新しい事実で、目の前の壁が……更に高くなった。