男性不妊と宣告されて~不妊治療闘想記~
「こんばんは」
「ただいま!」
リュウジの家に入ると思っていた通り、綾子さんと姪の美咲もそこにいる。
2歳を過ぎた美咲は話すことを覚え
「あおいちゃん、リュウくん」
無邪気な顔で呼ばれ、いつの間にか成長していく姿にまた少し悲しくなる。
私たちが足踏みしている間にも、どんどん周りは子を産み、母となっていく。
「子供は本当に大変だよ」
口を揃えて言う綾子さんとお義母さんに何と言えばいいのか……。
私に気を使ってそう言ってくれてるのであれば、それは逆効果でしかない。
子供は可愛いから授かるといいね、ぐらいの方がよっぽど楽だと思う。
確かに、育児の大変さを理解することは出来ないけれど
子供のいない辛さと比べたら……なんて、それだって子がいる人間には絶対に伝わらない事だ。