男性不妊と宣告されて~不妊治療闘想記~
「どうだった?」
リュウジが酔いつぶれ、寝室に布団を運んでいるとお義母さんに聞かれた。
「やっぱり抗がん剤が原因だそうです……次に手術を受けるんですけどそれでダメだったらもう……」
ガサガサとファイルを漁り、説明の紙や価格表を渡した。
「ゴメンね。お父さんが早期退社してなかったら助けてあげられるんだけど……」
それを聞いて思った。
私は何でこんな詳しく必死に話してるんだろう?
別にお金を下さい、なんて思った訳じゃない。そりゃ援助してもらえるなら助かるけど……そうじゃなくて。
きっと、誰かに分かってもらいたいんだと思う。
リュウジはどこか他人事で、少しでもいい結果になるようにって、頼んでもタバコだって止めてくれなくて。
温度差。
気付けば私はリュウジや周りとの温度差を強く感じるようになっていた。