男性不妊と宣告されて~不妊治療闘想記~
置かれていた雑誌を読んでみても……内容が全く頭に入らない。
それでも、周りの患者さんと同じ風を装って本を読んで順番待ちしているふりをした。
美味しそうなレシピの載っている主婦向け雑誌を見てしまったせいか、結果がダメだったらこれからも笑顔で彼に料理を作れるのだろうか?なんて。
また、思考がマイナスになってしまう。
これは後から聞いた事だけど、この日の成功確率は
……たったの5%だったそうだ。
時間がのろのろと流れていき、11時半を回った時
「桜木さん、桜木葵さん」
「はいっ」
「こちらで話がありますので……」
誰もいない静かな部屋へと通される。
嫌でも感じる強い不安。
私一人で……結果を聞くの?
看護婦さんが去って5分ぐらい。
一人暗い顔でうなだれる私の元へ院長先生がやって来た。