男性不妊と宣告されて~不妊治療闘想記~



それは……感情とかそういう何かを遥かに通り越していて。


その言葉を聞いた瞬間、抑えきれないほどの涙が両目から溢れだした。


「本当ですか?私……ダメだって……諦めてて……」


言葉が言葉にならず涙ぐむ私に先生は



「最初は見つからなかったんです。けど、もう一人の先生が探してくれて……」


はい、と言いたいのにそれも声にならない。


「顕微授精10回分は取れましたからね!」


力強いその言葉に崩れ落ちる。


「ありがとうございました!!」


その言葉もまた、声にならないけれど……気持ちだけは伝えたくて、声にならない声で精一杯告げた。


院長先生はそんな私の姿を見て……ただにこにこと笑ってくれていた。



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