男性不妊と宣告されて~不妊治療闘想記~
そして、夫リュウジには持病がある。
小さい頃小児がんを乗り越えた彼は、幼い体で受けた大手術の成功と引き換えに
手術の際の腸の癒着による腸閉塞をきっかけがあれば引き起こしてしまうのだ。
もちろん。
普通にしていれば問題はない。
肉体的、精神的に無理をした時に急にそれは彼に襲い掛かる。
今の職場に入って3年で2回。
一緒に暮らし始めてからは3回。
これ以上睡眠時間の取れない過酷な今の仕事を続けられるのは、私にとっても不安な事。
深夜に救急車やマイカーで病院へ連れて行くのも、入院の準備も今ではすっかり手馴れてしまった。
はっきり言ってなんにも嬉しくないんだけどそれが現実。
更に半年〜1年単位で繰り返される転勤生活では、いつまで経っても夫婦として落ち着くことすら出来ない。
会社の寮を転々とする生活も楽しくはあるのだけれど……そろそろどこかに落ち着きたかった。
若い頃、フラフラしていた私には高望みかもしれないけどさ。
安定した生活ってのを送ってみたかったんだ。