男性不妊と宣告されて~不妊治療闘想記~
当日の朝。
試験管と注意書きを持ったリュウジが仕事に向かう。
なんだか申し訳なくてついつい
「ゴメンね」
と言ってしまう。
「そんな気にしなくていいから。っていうか俺に何かあるのかもしれないしさ」
「そりゃそうだけど……じゃあ、後でね」
……。
…………。
……………………。
「はい!じゃあ一緒に行けなくて悪いけど頼むね」
決められた時間にリュウジから無事に試験管を受け取った私は病院に向かっていた。
胸に挟む!!にもうっかり落としてしまいそうで、左手で胸元を支えながらの片手運転。
危なっかしいけど仕方がない。
万が一死なせてしまってもう一回!なんて事になったら笑えないし。
なんとか受付について、紙袋を渡した。
「じゃあ先生が見ますからお待ちくださいね」
よしっ、役目はなんとか果たせたかな。
手渡した事で一気に緊張が解けていくのがわかった。