男性不妊と宣告されて~不妊治療闘想記~
第5章 養子の現実
「無精子症は最も治療困難な不妊症」
そんな言葉はネットでよく見かけていた。それを改めて実感する。
一番妊娠できる可能性が低く、一番お金もかかる。
「顕微で一人授かって更に次の為にお金を貯めてます!」
立ち寄った掲示板のそんな書き込みに、どうしようもなくイライラして。。。
でも探す。
裕福な人を羨んでも……仕方ないから。
私は検査だけしてくれる病院が無いものかと必死に探していた。
そうじゃないと簡単に未来は決められない。
これは二人で出した結論だった。
だけど……そんな病院はどこにも見つからなかった。
ただでさえ男性不妊、それも無精子症だけに的を絞ると情報は極少ない。
どこの病院も精子が見つかったら即回収、が当たり前になっていた。
1年早く、産婦人科の門を叩かなかった事が悔やまれるけれど今更どうしようもない。
一番有名な病院は九州にある。
全国の人達がそこへ飛ぶ。希望を持って。
でも……私達は動けない。
宝くじでも当たったらすぐに行くのにね?
世の中はそんなに甘くないんだ。
「他の男性の精子を使えば……」
実はそうも言われた。
でもそれって……何かが違う。
いくら医療機関で保管されてるその為の精子だとはいえ、リュウジじゃない誰かの子供……きっと後から面倒な事になりそうだ。
というより、私が欲しいのはリュウジの子供なんだから。
その方法で幸せに暮らしている人もたくさんいるのだろうけれど、私は知らない誰かの精子で妊娠っていうのはイヤだった。
それだったらいっそ……どちらとも血の繋がらない子供。
養子を貰うってのはどうなんだろう?
それなら二人で同じように愛情を注げるかもしれない。