男性不妊と宣告されて~不妊治療闘想記~
電話口にいるのはまだお義母さんだった。
「お久しぶりです、葵です」
「葵ちゃん、元気?」
関西弁、ではあるけれど相変わらずののんびりとした声が耳に届く。
「はい、元気です……あのリュウジから聞いたと思うんですけど」
「あ~別にいいんじゃないの?二人で好きな人生歩んだら……」
これだ。
リュウジが反論できなかったのは。
っていうか……お義母さんは孫を見たくないのかな。
「二人もいいんですけどやっぱり子供が欲しいんですよ」
「そぉ?でもリュウ君の時は入院もあったし大変やったんよ~わざわざ苦労しなくても二人でいいやん」
それは知ってる。
リュウジは小児ガンの治療で1年以上小学校を休んでいる。
その間病院へ通い詰め看病した事は本当に大変だっただろう。
でも……それでも私たちは天使を抱きたい!!!
「不妊治療は……正直金銭的にも難しいので今養子を考えているんです」
「養子?」
その言葉を出した瞬間、お義母さんの声色が急変した。