男性不妊と宣告されて~不妊治療闘想記~
「絶対ダメだから」
悲しそうな声が耳を刺す。
なんで?
「母はね~親元と違う家を転々として育ったの。血の繋がらない子は子供としてかわいがれないものだから。ねっ」
お義母さんは辛い経験をしていた。
でも、私とリュウジはその人とは違う。
信用出来ないんだろうか? 絶対に幸せにするのに……。
「じゃあ、施設にいた方が幸せだっていうんですか!!」
自然と声が荒くなってしまう。
何故か、私もお義母さんも涙声だ。
「施設のが幸せって事もあるのよ」
そう、言い放つお義母さん。
気持ちは……分かるけど。
きっと見知らぬ家で辛い思いをしてきたんだろう。でも……その人達と一緒にされたくないよ。
私たちは望んで迎え入れるんだから、絶対にそんな事しないのに。
大切にするのに……。
「どうしても認められませんか?」
「母は、二人で幸せになって欲しい」
ダメだ。
これ以上何を話しても変わらないだろう。
力なく、受話器をリュウジに返した。
「うん、考えるから……じゃあね」
辛い思いをした人を思いやらなければいけない……頭ではそう思う。
でも私はお義母さんの事を嫌いになってしまいそうだった。