男性不妊と宣告されて~不妊治療闘想記~
第6章 忘れる努力
結局、何も変わらないまま。
ただ1つ心に決まっていたこと。それは今の職場を去ろう、という事だけ。
次の段階に進むにせよ、諦めるにせよ、私がパートでいる必要性はもう全くない。
お金を貯めるんであれば正社員として働くべきなんだろうし……諦めるにしても同じ。
リュウジの親を説得できたとしたら逆に仕事は辞めなければいけないし。
まぁ、今更そんなに焦る事はないんだけど。
あとは日に日に私の子宮の能力だけが落ちていくだけの話。
20代の終わりまであと3年。
それまでにお金を貯めるのは不可能だろう。現実を見つめるとココロが痛んだ。
だから、見ないようにした。
二人で生きていけばいいじゃん。
言い聞かせる。
そうせざるを得ない状況に自分を持っていくんだ。世の中にはたくさんいるじゃん。
夫婦のみの人だってさ。
大丈夫だから。
二人ならきっと、大丈夫だから。