男性不妊と宣告されて~不妊治療闘想記~
そんな野田さんが深刻な顔で私に相談を持ちかけてきたのは次の週。
「桜木さん、ダックス飼いたいって言ってたよね?」
「前から言ってるじゃないですか。飼うんだったら絶対にミニチュアダックスですって」
その言葉に覚悟を決めたような野田さん。
「うちの子。飼ってもらえないかな?」
え?
急展開の理由はこうだった。
野田家でわんこを飼いだしてから息子さんと野田さんに謎の湿疹が出来てしまい……。
検査をしたところ、なんと野田さん自身が犬アレルギーだったんだとか。
かわいそうな事に相当ヒドイらしくご飯をあげるにもマスクをして近寄っているのが現状らしい。
「とりあえず見てから決めてくれていいから!ダンナさんの都合のいい日に来てくれないかな?」
確かに……飼うならダックスって言ったけど。
うちには猫が2匹もいる。
会社に借り上げてもらってる社宅は2DKで決して広くはない。
まぁ隣のお宅ではダックス×2+コーギー×1を同じ間取りで飼っているから不可能ではないんだろうけど。
ペット可マンションは近所に少なく8世帯なのに6匹のダックスが住むこのマンションならわんこの友達も出来るだろうけど……でも。
迷って決められない私は、とりあえずリュウジに聞いてみる事にした。