男性不妊と宣告されて~不妊治療闘想記~
わんこと始まった日々は想像を絶するぐらい忙しかった……もちろん私も悪かったんだけど。
始めは警戒していたネコ達が慣れてきた頃、彼は毎晩夜になるとゲージできゅんきゅん鳴いていた。
同じ部屋で寝る私達とネコが見えるだけに一人ぼっちが寂しかったんだろう。
「リュウジ……出しちゃダメかな?」
「まだ早くない?」
「でもなんだか可哀想だよ」
その日から一緒の生活が始まる。
まだ本当は早かったと言うのに……。
ネコだけ飼ってる時とは違う。
高い所のものをネコが落とす。
それを犬が噛む!!
ありえない勢いで家の家具やら備品やらが壊れていく。
ネコのご飯もなんでも食べてしまう為、犬用のバリケードを張り巡らす。
「インテリアも何も無いね」
「他の犬もこんなんなのか?」
どうやら彼は……脳みそがかなり小さいわんこだったらしい。
トイレは覚えない。
何でも噛みまくる。
リュウジの同僚の奥さんでダックス飼育経験のあるセイラちゃんをたまらず呼んだ。
セイラちゃんも子供がいない上に専業主婦だから、今の私にとって話の合う数少ない相手。
「うちもねぇ、おバカだったよ。育児ノイローゼみたくなったもん」
おかげ様で……私も子供はいないけど育児ノイローゼだけは体験したのだった。