男性不妊と宣告されて~不妊治療闘想記~
「どうだった??」
ドキドキしながら聞く私ににリュウジは普段と変わらない表情で……でもちょっと笑みがもれてるような気もする。
「好感触だったよ。なんでわざわざこんな遠くに?とか聞かれたけどさ。でもここまできた情熱みたいなの伝わった」
興奮して話が止まらないリュウジと一緒に盛り上がりながら、私達はいつもの会社の寮に帰っていく。
「なーん♪」
「なおーん♪」
ドアを空けると寂しかったらしい愛猫2匹がやたらと懐いてきてほっとする。
2匹は今の私達にとってカワイイ娘と息子。
女の子の方は私が16歳で一人暮らしした時からのよき相棒。
一人暮らししたマンションの2件隣にあったペットショップに
「アメショーあげます」
あっさりとしたそんな看板に驚きつつ、電話したら私が一番のりだったとめでたく家族に。
そして当時1歳にしてはデカイ食いしん坊な彼女と暮らしてきた。
食べ過ぎで捨てられたんじゃない!?と影で言われていたことは内緒だ。
男の子はリュウジが新しく発見したペットショップの入り口で小さくなって寝ていた。
「今朝捨てられていました。飼い主さん募集」
その張り紙をみた私がその場を離れられず拾ってきた子。
茶トラでなかなかの美形……ただし弱虫。
そんな2匹の大切な家族。
私が拾った子も二人で拾った子もリュウジは同じように大切にしてくれた。
連れ子だったから嫌われたらどうしようって思ってたんだけどさ、そんな心配全然無くてそんな彼をますます好きになったのは言うまでもない。
家に帰りようやく一息ついて、リュウジは面接で聞いた仕事の内容にかなり満足な様子を見せる。
優しそうな外見と細身の体には似合わずリュウジは現場主義。
もちろん大工さんとかリアルな肉体労働は無理だけど、人相手よりも工場で機械を相手にしている方が好きらしい。
人好きな私とは正反対。
だからうまくいってるのかな?