男性不妊と宣告されて~不妊治療闘想記~
私のSOSはついに届かなかった。
もうイヤだと、家にあった風邪薬を一気飲みした朝……熱が40度オーバーで倒れる娘に何があったか気付く筈も無く。
もちろんこっちからも言う訳もなく。
「風邪かな?」
純粋なお嬢様は”しっかりした”私の言う事を疑わない。
慌てておかゆを作りに行くんだ。
イジメの事だって……。
「何でかしら?」
そう首を傾げるだけ。
体を張って守って欲しかったのに。
私が親だったら、絶対に全力で守るんだ!
バカでもいい。
仲良しな親子になるんだ!
それはまだ、当時小学生だった私が決めた事。
大学や勉強は当たり前じゃなかったけど……まだ、子供を持つのは当たり前だと思ってたあの頃。
高校進学を断った。
「大学に行くには高校を出ないと!絶対に後で後悔するから」
親にそう言われて入った高校は一年もしないうちに中退した。
大学に行きたいなんて今でも思わないよ。
親の望まない世界ばかりに住んできて……今は自由を手に入れたのに。
なぜか、ちょっとだけ寂しいんだ。