男性不妊と宣告されて~不妊治療闘想記~
第8章 二人きり



そんな風に……。


男性不妊がわかってから昔、そう私自身が子供だった頃をやけに思い出すようになっていた。


表向きはとても仲の良い親子。


でもその距離感は親子じゃない。


小さな頃からしっかりした”大人”を要求された私はまるで同居人みたいで。


だから、確かめてみたかった。


親は親なのだと。


どんな私でも受け入れてくれるはず。


きっとそうだよね。


親子の絆を信じて、私は今まで隠していた仕事の事、2度目の妊娠の事、全て話すことにした。


ただ、親子として……共有したい。


ちゃんと話をしたかった。


緊張しながら実家に電話をかける。


「もしもし……お母さん?」


それともひょっとしたら……。


最初の妊娠の時、一番に賛成してもらいたかったお母さんに反対された事。


守ってくれなかった事。


私はずっと恨んでいたのかな?


< 86 / 314 >

この作品をシェア

pagetop