男性不妊と宣告されて~不妊治療闘想記~
第8章 二人きり
そんな風に……。
男性不妊がわかってから昔、そう私自身が子供だった頃をやけに思い出すようになっていた。
表向きはとても仲の良い親子。
でもその距離感は親子じゃない。
小さな頃からしっかりした”大人”を要求された私はまるで同居人みたいで。
だから、確かめてみたかった。
親は親なのだと。
どんな私でも受け入れてくれるはず。
きっとそうだよね。
親子の絆を信じて、私は今まで隠していた仕事の事、2度目の妊娠の事、全て話すことにした。
ただ、親子として……共有したい。
ちゃんと話をしたかった。
緊張しながら実家に電話をかける。
「もしもし……お母さん?」
それともひょっとしたら……。
最初の妊娠の時、一番に賛成してもらいたかったお母さんに反対された事。
守ってくれなかった事。
私はずっと恨んでいたのかな?