男性不妊と宣告されて~不妊治療闘想記~




こんな風に慌ただしく面接にいったのが3月。


そしてその後も淡々と流れる日々。


リュウジの携帯に結果の電話があったのは、それから2週間後のことだった。




「葵!!受かった!!」


興奮したリュウジの声に私のテンションも高くなる。



「やったね。おめでとう!」



やった。


これで、今までの安定しない生活が終わるんだ!



そう思うと顔が自然にほころんでいく。



「GWまでは忙しいから辞められないけど、ピークが終わったらあっちに行こう!」




この時の私たちにはバラ色の未来しか見えてなかったね。


転勤のない職場。


都会じゃないけど山も海も近い過ごしやすい街。


私だってちょっと働いたり出来ちゃったりして。




リュウジが面接に受かった会社は良心的で、遠くから来る私達の為に借り上げで2年間は格安で住まいを貸してくれると言う。


ペットがいる事を告げるとそこも考慮して、なんと新築の賃貸マンションに住めることになったんだ。


ここのところはリュウジの体調もいいし、これからは平穏な生活になるし。


今までいろいろ大変だったけど、幸せになれそうな予感がする。


私は忙しいリュウジに変わり、上機嫌で引越しの準備を進めていった。



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