TнE ИeχΤ ΟF DеАтн

訪れ

誰かが俺の耳元で泣いている。

こんなに煩いのに俺の体は硬直していて
その〈誰か〉を泣き止ませる事が出来ない。

周りには人の群れ。

俺の隣には幼なじみの亮介が居る…

…ハズだ。


本当に体を動かす事が出来ない。


だから 亮介が居るってのは 体が動かなくなる前の記憶と 感じる気配だ。


今 この瞬間も
泣き声は絶え間なく俺の耳を侵略し 蹂躙する。


煩い!煩い!煩い!煩い!


どんなに叫んでも 俺の口からは

うめき声すら洩れなかった………。


こんな事は有り得ない。

だから コレは…いわゆる 〈白昼夢〉ってヤツだろう…?

それにしても 煩い!

泣き声は 頭の中をこだましている。

赤ちゃんの泣き喚く声にも似ているが

もっと生々しくて 鋭利だった…


夢なら早く覚めてくれ…


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